ナイトオブゼロの日記 第1話


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※騎士皇帝就任の9/1から書き始めたため、この話のゼロレク日は9/28ではありません。ダモクレス戦の1ヶ月後なので10月末頃になります。それ以外の日付も適当です。
※ツイッターで一時書いてたオブゼロ日記を、ゼロレク用にまとめ&加筆したものになります。
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ここに一冊の手帳がある。
黒い革張りの手帳の中には、手書きの文字が並んでいた。
日本語で書かれたその文字は、お世辞にもきれいとは言い難い物ではあったが、それはこの内容を誰かに読ませる事を想定していなかったからだろう。
手帳に記されていたのは、日記だった。
神聖ブリタニア帝国第99代皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、その唯一の騎士であるナイトオブラウンズ・ナイトオブゼロ・枢木スザクの日記である。


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9月1日
ルルーシュの説明は長ったらしくて、覚えられないと言うと「覚えられないならメモをとれ」と、手帳をくれた。革張りの高価な手帳だ。皇帝の後ろで必死にメモを取る騎士はどう考えても格好悪い。でも、使わないのは勿体ないから、日記を書くことにした。
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9月2日
オブゼロの騎士服が完成したというので着てみたけど、どうして肩のところがシースルーなんだろう?とルルーシュに聞いたら「格好いいだろう」と喜々として語りだした。専門用語だらけで何言ってるのかよく解らなかったけど、涼しいからまあいいか。
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9月3日
ギアス兵の一人がルルーシュを盗撮していた。所持していたICレコーダーから、何か命令しているルルーシュの声と、兵士の荒い息が聞こえてきたので、つい殴ってしまった。1週間は流動食だろう。彼は命令は遂行できなくなったが、それは全部ルルーシュのせいだ。
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9月4日
貴族の制圧から戻ってきたら、まるでルルーシュの騎士のように兵が二人彼の傍に立っていた。ジェレミア卿も出ているから代役を立てただけなのに、兵は「俺が陛下の騎士だ!」みたいな顔をしてこちらを見てきた。反抗心ありと見て、その日の夜にシメておいた。
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9月5日 問題のある兵士に懲罰を与えていたことがルルーシュのバレた。彼の策を手伝う兵を病院に送ったのはまずかったか。だけど、これは全部「ギアス兵だから大丈夫」と無防備になっているルルーシュが悪い。不本意だがC.C.にルルーシュの側にいるようピザで交渉しよう。
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9月6日
C.C.から恐ろしい情報がもたらされた。ピザ10枚を請求されたが、安いものだ。記憶を失っていたあの短い間だけで108人の女性と付き合っていたルルーシュがど・・・いや、まさか、だがルルーシュならありえるのか!?確認するにはどうすれば・・・
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9月7日
ルルーシュが身辺整理をはじめた。ダンボールの中には学生服など、彼の手元に残った僅かな私物が収められていた。これから焼却炉で燃やすというので、預かることにした。これをいつ燃やすかは僕が決める。だから今は僕の部屋の押し入れに入れておく。
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9月8日
貴族は馬鹿ばかりだ!と怒るルルーシュから渡されたのは難しい文面の手紙で、C.C.がルルーシュ宛の恋文だと説明してくれた。季語も文体も何もかも間違っていると怒っているが、問題はそこじゃない。今後C.C.が先に手紙をチェックし、僕が制裁する事になった。
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9月10日
1ヶ月以上休まず働き続けたルルーシュが倒れた。ゼロだった頃からの疲れも出たのだろう。看病しようと思ったら、C.C.がいるからいいと言われたので、料理人に命じてピザを大量に用意したら、C.C.は食堂から出てこなくなった。仕方がないから結局僕が看病した。
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9月11日
医療福祉関係を再優先で整え始めたルルーシュに、悪がやること?と聞いたら、気づかれないようにやると言っていた。皇帝の政策だからバレると思ったが、急激に変わった政策に関し、未だメディアは一切取り上げていない。すごいけど、君は頭の使い方を間違えていると思う。
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9月12日
ゼロの剣が完成した。暇な時に素振りでもして手に馴染ませておけと言うが、こんなハデハデしい剣を振り回したくはないし、使うのは1回だけだから大丈夫だろう。それにしても、よくこんな剣をデザイン通りに作れたなと感心する。ほんとルルーシュのセンスはよくわからない。
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9月13日
悪逆皇帝が行う悪事を考えろと言われた。どんなくだらないことでもいいと言うので、ハンバーグ以外の肉を食べたら駄目という法律を作ればいいと提案した。ソースはデミグラス限定で。本気で言ったんだけど、ふざけ過ぎだと怒られた。ハンバーグ食べたい。
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9月14日
無事、元同僚達を打ち取ることが出来た。特にヴァルトシュタイン卿は1ヶ月前には全く太刀打ちできなかった相手だが、今日は負ける気はしなかった。殺すことばかり上手くなっていく事に落ち込んでいたら、ルルーシュがデミグラスハンバーグを用意してくれていた。美味しかった。
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9月15日
ルルーシュが探しものをしていた。何故か下着が無くなるんだと首を傾げながら言った。C.C.が使ってもここまで減らないと言っていたが、彼女と共用で下着を使っているってことかな?冗談だよね?下着泥棒をしていた兵数名は病院に送り、メイドにC.C.用の下着を大量に用意させた。
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9月16日
反乱の制圧に向かうことになったが、場所が遠い為今日中に戻れない。移動時間も長いので、ルルーシュから沢山宿題を渡された。分厚い辞典のような資料を全部読んで覚えろと無茶なことをいう。頭を使うとお腹が減る。唐揚げ食べたい、餃子食べたい。
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9月17日
昼すぎにようやく戻ってこれた。食事の前に報告をしに行くと、ルルーシュの部屋に連れて行かれた。しばらく待てと言うので待っていたら、餃子と唐揚げを沢山作ってくれた。もしかしたらルルーシュは超能力者なんじゃないだろうか。僕限定の。
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9月18日
日本に行く日が決まった後、ロイドさんとルルーシュが難しい顔で話をしていて、ロイドさんが悲鳴を上げながらルルーシュの説得をしていた。なんだろう?と思ったら、醤油や味噌が切れたから、セシルさんに買い物を頼んだそうだ。やめて、変なの買ってくるから本当にやめて。
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9月19日
明日はカグヤと会う日なのに、ルルーシュは仕事が終わらないと机にかじりついていた。寝不足でミスしたらどうすると言っても、俺がミスをするわけがないと自信満々にいう。腹がたったので、とりあえず睡眠薬を盛った。君は自分がドジっ子だと気づいてないのか。
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9月20日
ルルーシュの予想通り、シュナイゼルはフレイヤを所持していた。そしてペンドラゴンを消滅させた。僕にフレイヤを持たせ、東京を消滅させた事も、多くの人が死んだことにも罪の意識は感じないのだろうか。ナナリーは優しいけど、僕よりも馬鹿だとわかった。
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9月21日
今日、僕は死ぬ。カレンは僕を狙ってくるから、彼女と1対1で戦い、彼女の行動を封じた上で負けなければならない。あのダモクレスの中で。大丈夫、必ず生きてこの役目を果たしてみせる。
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ナイトオブゼロが書いたとされる日記は、この日以降記される事はなかった。

2話